「坂本治司のKanmei225」のローソク足と“4本線”の陰に潜む現実を点検

先物取引・その他

こんにちは、管理人のミャオです。

今回は、日経225先物(指数を売買する先物取引)の商材「坂本治司のKanmei225」を、商材の中身(設計思想・提示ロジック・運用前提)の観点から点検します。

販売者自身が公開している説明――たとえば「ローソク足と4本の線だけでOK」「基本インディケーター(価格や出来高などから計算する指標)だけで長期利用に耐える」「資金30万円・手数料82円を前提に算出」「MT4(FX用の無料チャートソフト)で練習」「自動売買設定例あり」といった記述――に直面しやすい落とし穴がないかを洗い出します。

先物取引とは

将来の決められた期日に、ある商品を現時点で取り決めた価格で売買することを約束する取引です。

一般的な売買は取引するその時点の価格で行われますが、先物取引では、将来の価格を事前に固定できるのが特徴です。

農産物や原油などの商品だけでなく、日経平均株価などの株価指数も取引の対象になります。

主なキャッチコピーを抜粋

・Kanmei225|感銘を受けるほど簡明な日経225先物トレード術

・チャート1枚にローソク足と4本の線だけ、しかも主に使うのはそのうち2本。

・難しい事をしないと成果が上がらないという先入観は捨てましょう!

「基本的なインディケーターの“黄金の組み合わせ”を軸に、初心者でも取り組みやすいと謳う日経225先物トレード手法の解説マニュアル(練習法・自動売買設定例つき)」です。

特定商取引法に基づく表記
販売会社
責任者名 坂本治司
所在地  静岡県浜松市中区中島3-2-24
電話番号 080-3076-5381
メールアドレス support@info-manual.com
特定商取引法(特商法)は、インターネット上での取引きなどにおいて、事業者による違法・悪質な勧誘行為などを防止し、購入者の利益を保護することを目的に、事業者の氏名(名称)、住所、連絡先(電話番号)などの重要事項の表記を義務付け、また虚偽・誇大な広告を禁止する法律です。違反行為は、業務改善の指示や、業務停止命令・業務禁止命令の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなります。表記があれば問題ないというわけではありませんが、表記のない場合は規約違反を犯しているということになります。

現時点で、当該住所・氏名の組み合わせでの“法人としての登録”は見当たらず、個人名義で販売している可能性が高いと判断します。

また、現時点で「 坂本治司」の金融庁または財務局への金融商品取引業者としての登録は確認できません。

自社の教材販売のみで個別助言等をしない場合は登録対象外になり得ますが、個別銘柄の推奨・継続助言・売買指示等を不特定多数へ業として提供するなら登録要件に該当し得ます。

特商法に記載された所在地を辿ったところ、一軒家が表示されました。

そして、当該住所で、「浜松おそうじハウス」というエアコン、洗濯機、浴室、換気扇のクリーニング専門店(代表者 坂本治司)が営まれています。

そちらが、本業のようです。

本商材の本質的な問題点
1) 透明性と再現性のギャップ

販売ページ上は「チャート1枚・4本線・主に2本使用」「基本インディケーターのみ」「数百回の検証で“黄金の組み合わせ”」という魅力的な表現が並びますが、中核ロジックの具体式・条件分岐・フィルタは非公開です。

非公開自体は珍しくありませんが、第三者が同一条件で独立に再検証(バックテスト=過去データでの検証)することができないため、“誰が・どのデータで・どの発注仕様で”同等の結果を再現できるかが不明瞭です。

リンクで「成績」や「履歴」への誘導はあるものの、公開面の範囲は限定的で、独立監査(第三者検証)に関する明示は見当たりません。

2) 「シンプル=優位性」ではない(基本インディケーターの限界)

「複雑なロジックを避け、基本インディケーターだけで長期的に安定」という主張はわかりやすい一方、基本指標は市場参加者の多くが既知であり、継続的な超過収益(アルファ)をもたらす保証にはなりません。

指標の組み合わせで優位性を作るとしても、その優位性がどの市場局面(トレンド・もみ合い)で機能し、どこで崩れるのかの定量説明は乏しく、学習(最適化)と汎化(実運用での通用)の切り分けが読み取りづらい点がリスクです。

3) 成果の算出前提が固定的(資金30万円・手数料82円・スリッページ未言及)

ページ内の“成果の根拠”は資金30万円で225ミニ1枚、手数料82円を前提にした計算です。

しかし、実コストは証券会社・プラン・約定頻度で変動し、スリッページ(成行発注などで約定価格が理想より滑ること)や気配の薄さによる不利も現実には起こりえます。

固定前提でのシミュレーション結果は、利用者個別の口座・手数料体系・約定品質に置き換えると乖離しやすく、掲示の数字がそのまま自分に当てはまるとは限らない点は重要です。

4) 「効きにくい時間帯を避ける」=事後最適化の疑い

販売ページには“効きにくい時間帯を調べ上げて、そこはトレードしない”との説明があります。

時間帯フィルタは有効な設計になり得ますが、過去データに合わせた“後付け”になっていると、将来の相場で通用しない(過剰最適化)リスクが高まります。

なぜその時間帯で優位性が失われるのか(市場構造・参加者の行動仮説)といった因果の説明が乏しいままですと、汎用性よりも過去合わせの疑いが残ります。

5) MT4練習と実取引の環境差(ツールの目的が異なる)

MT4は主にFXで普及した無料チャートで、先物本番の発注・カバーリングとは別物です。

練習にMT4を使う方針は理解できますが、練習時のチャート(データ・足の仕様・遅延)と実取引の板・約定仕様は一致しないことが多く、練習の“勝てた感覚”が実約定で再現できないギャップ(執行リスク)に直面しがちです。

練習→本番の橋渡し(発注方式、逆指値・同時発注、回線・VPSなど)の設計書レベルまで踏み込んだ開示は見当たりません。

6) 「自動売買設定例」提示の範囲が不明確(運用コストと故障時の手当)

自動売買の設定例そのものは便利ですが、どのツール(クラウド/インストール型)に何をどう設定するのか、月額やVPS費用、障害時のフェイルセーフ(自動停止・手動切替)など、“運用まわり”の設計情報が購入前に把握しにくい構成です。

24時間放置の想定であれば、通信途切れ・板薄時間のスリップ・急変時の連続約定など、実橋渡しのリスクまで把握しておきたいところです。

7) ドローダウン(資産がピークから減る幅)の説明が粗い

ページには「最大約1000円、1か月半続くことも」といった表現がありますが、単位(1枚当たり/累積/評価/実現)や前提(手仕舞い条件・同時保有数・再エントリー規律)が読み取りづらく、資金耐久性(どれだけの連敗・低迷期間に耐えられるか)を初心者が判断しにくい記述です。

最大ドローダウンの定義・期間・回数分布など、損失側の統計が薄いのはリスク把握の盲点になり得ます。

8) 価格(22,500円)と教材構成(Excel連携)に対する費用対効果の検討余地

販売ページではマニュアル22,500円、Excelの動作環境などの記載があります。

教材の価値は各自の判断ですが、購入前に確認できる“中身の可視化”が限定的なため、費用対効果の評価が難しい側面があります。

購入後にしか見えない核心部分が多い設計は、意思決定の不確実性が高い点に注意が必要です。

9) リスクは明記されるが、リスク管理の数値設計が見えにくい

販売ページ末尾付近には「著者と同じ利益は保証しない」「株取引は価格変動リスク」といった注意書きが確認できます。

一方で、推奨ロット(枚数)・損切り幅・最大ポジション数・同時シグナル時の優先順位・想定連敗長など、資金管理(マネーマネジメント)の数値的な設計指針は購入前に把握しづらいままです。

勝ち方だけでなく“負け方の作法”が初心者にこそ必要で、その視点が薄いと想定外の損失に繋がります。

評判・評価

ここまで見てきたように、公式ページの時点でいくつかの注意点が見えてきます。

ここからは、実際に利用した人の評判や口コミを踏まえながら、理論と現実のギャップを検証していきましょう。

セールスページ内に「バックテストでは、100万円の資金が5年で約6億円(複利)」とありますが、あくまでもバックテストです。

過去成績についてひとつ注意して頂きたいことがあります。

それは レターの成績にはスリッページが考慮されていない ということです。

普及版は自動売買に関する記述は一切ありません。

また「実用ロジック編」「応用編」といった最適化のルールに関しても記載がないので、自力ではバンバン改良できる方ではないと オススメできない内容 になっています。

総括

「坂本治司のKanmei225」は、“シンプルで実践しやすい”物語と“数値の再現性が読み取りづらい”現実が、同じページの中に同居する商材です。

一次情報の範囲だけでも、ロジックの透明性・時間帯フィルタの因果・執行環境のギャップ・資金管理の定量設計など、つまずきやすい論点が複数見つかります。

本稿が、自分の条件で再現できるかを見極める“現実的な物差し”としてお役に立てば幸いです。

ここまでお読みいただき感謝いたします。

管理人 ミャオ

 

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